
日一日と深まりゆく秋となりました。
先日の連休を利用して、伊豆の小川勝弘さんの窯を訪ね、久しぶりの新作を頂戴してまいりました。
小川勝弘さんのうつわは、いいですね。
てらいのないやさしさで、かつ使いやすく飽きの来ない仕上がりです。
小川勝弘さんの作られるうつわには、朝鮮唐津、三島、刷毛目、粉引、黄瀬戸、藁灰釉などが多く、作陶は、通底して、お茶道具やお懐石道具にかなうものという観点からなされます。
今回は、そうした小川勝弘さんが作られるうつわの魅力に迫ってみたいと思います。
お茶の精神にかなったカタチ、作り方に倣っていらっしゃる小川勝弘さんの作品群。なにもお茶の心得がないからと言ってしり込みをする必要はないのです。
ここ数年の小川勝弘さんのうつわには、どこかしら「詫びた」印象が付いて回りましたので、そのことをお伺いいたしますと~~
「古きに倣って、仕上げの最後に、細かい貫入が入る作り方をしているんです。昔の唐津や志野には、細かい貫入の入ったものが見受けられますョ」とおっしゃいます。
例えばこちらのお茶碗に、細かい貫入が入っています。
この表現は、酸化も還元も部分的に出てくる中性窯で焚くことによって可能となり、釉と土の収縮の差を大きくしてもたらされるのだとか。
う~ん、一種のひずみのようなものでしょうか!!!
奥が深いんです。尋ねれば尋ねるほど、小川さんのご苦心の様子をうかがい知るようで、一朝一夕にはなせない技のおはなし。
よくあるのぺっとした肌のうつわとは明らかに違う滋味のようなものがあります。
魅力その➊苦心の跡を、微塵も見せない清々しさといったところでしょうか。
こちらは、お茶事のお菓子鉢や預け鉢としてご利用いただいても良いお鉢ですが~~
日常使いでは、スープ皿にも、お惣菜を盛り込むお鉢にも、パスタやチャーハンをいただくうつわとしても使えます。
魅力その➋茶心によって作られるうつわは、日々の暮らしのうつわとしても大いに活用できる。
そして、こちらの片口。湯冷ましとして作られていますが、徳利替わりの酒器としても、ドレッシングやソースなどをサーブする器としてもご利用いただけます。
魅力その❸シンプルで飽きの来ない設計のうつわには、多用に使える包容力がある。
まだまだ魅力は尽きないと思いますが、今回は、この三点に絞っておくことといたします。
嬉しいうつわ遣いの数々。
一器多用の小川勝弘さんの器をぜひ一度お楽しみください。
かれこれお付き合いいただいて、三十数年になりますが、いつまでも色あせないうつわ群かと思います。小川さんのうつわをご愛用くださる古くからのお客様の中には、今もって小川さんの窯出しを楽しみにしてくださる方々がいらっしゃいます。
久しぶりに、窯を訪ねてまいりました。
みなさまどうぞ、お出かけくださいませ。
清々しい秋の日に。
うつわの詳細は、こちらからどうぞ。
www.marcopolo-uehara.com