お盆休みを利用して、漆の街、輪島へ行ってきました。
南アルプスを越え、石川県・小松空港に降り立ち、レンタカーで能登半島を巡る旅です。
目的は、家庭で使える手ごろでいい輪島塗をさがすことです。
目星は付けていても、キリコや盆踊りと、7月末から8月の輪島はみなさんとても忙しく、思いがけない出会いとそうではない場合があり、ちょっぴりスリルに富んだところもありましたが、良い漆のうつわと出会えた旅となりました。
作品や輪島塗のことについては、次回お知らせするといたしまして、今回は、漆の街、輪島を旅人気分で歩いたままをお伝えいたします。

輪島のメインストリートです。以前能登半島に大きな地震があってのちですので、古い街並みというよりすっきり整然としたたたずまい。
いたるところに表示があり、今はクルマにカーナビがついていますので、美術館、産業会館、観光会館、技術研究所へもスムースにゆけます。
先ずは、先人の方々の作品を見て回り、それから一軒、一軒覗いてまいります。
おもしろいのはどの家が何を商う店かということが一目瞭然な場合が多いのです。
こちらは、お茶屋さん。
こちらは、漆屋さん。

こちらは、プロパン屋さんといったあんばいです。
街道沿いにも、たくさんの漆屋さんがあり、折からの観光客の方がたくさん見学されているところもありました。
何かしら、コンパクトで分かりやすく、輪島6職と言われる方々の店頭も、覗いてまわれます。
木地屋さん、塗屋さん、沈金屋さん、蒔絵屋さんなど、分業となるそれぞれの方々が店をはっていらっしゃるのです。あいにく、のぞけないところもありましたが。
お盆ですから、ガラス越しに仕切られた工房に、人の気はなく、店先だけが賑わうところも。
以前は、北前船で栄えた港町もあり、全国各地に注文を取りに出て、何から何まで手作りの輪島塗は、それこそ注文ごとに、今でいう一点ものの漆の器を仕上げて納品するというシステムをとっていた街ですので、街のチームワークには、計り知れないものがあったと思われます。
どことなくつましく、どことなく毅然とした印象の街。
能登の海に陽が落ち、宿で夕餉をいただいてから、駅前で毎夜開かれるという、能登の陣乗太鼓を聞きに出かけました。
毎夜と仰るので、あまり期待はしていなかったのですが、なんのなんののバチさばき。
昼間は美しい輪島塗の作品に触れ、夜は夜で、素晴らしい陣乗太鼓。
半端じゃない、鬼神のこもった太鼓なのでした!!!
むかし上杉謙信軍がこの地に攻めてくると知った輪島の人々が、木の皮で面を作り、海の海藻を頭にかぶって、太鼓を打ち鳴らし、恐れをなした上杉軍は、退却して散って行ったという伝説を持つ太鼓は、今でも、十分な迫力です。
太鼓を聞き終わったあと、気分は、晴れ晴れとしていましたから、邪気のようなものを払う太鼓でもあるのかもしれません。
輪島の陣乗太鼓は、輪島で生まれ育った人しか打てないのだとか。
その一点にも、輪島の気骨のようなものを見た思いがいたしました。
翌朝、お馴染みの輪島の朝市にも出かけました。
夏野菜、海産物、みそ、しょうゆ、お菓子など近隣で撮れるものが所せましと並んでいました。
旅の途中でなければ珍しいものもたくさんありましたが、この後、金沢、九谷をまわります。
途中、能登島に足を延ばし、ガラスの美術館、工房を見学。
いつものことですが、もっとゆっくり回りたいものだと思いつつ、能登半島をあとにしたのでした。