ひょうひょうとした絵付けの楽しさ、使って笑みのこぼれる織部のうつわ。








- この他、澤克典さんの楽しい絵付け、使いやすい器がたくさん揃いました。
- お近くにお出かけの折り、お立ちよりくださいませ。
- 澤克典さんの作品は、今回は織部、弥七田織部、鳴海織部となっており、信楽の焼き締めはまた別の機会にとなります。
久しぶりに伊豆の小川勝弘さんの窯を訪ねました。
「二年ぶりでしたでしょうか。本当にお久しぶりで」
東京から伊豆へは、首都高、東名、厚木小田原道路、箱根ターンパイクを用いれば、二時間とちょっとでたどりつく(ただし車の少ない深夜走行)。
昔はよく窯を訪ねたのだが、今回は本当にお久しぶりとなった。
小川さんの向付、ブルーやピンクっぽく窯変したスープ皿、銘々皿、ごはん茶碗、多用鉢、煮物鉢、お湯呑み、ビールコップなど、どれをとってもいまもって買い足しのリクエストが絶えない。
オープン当初から長い時間を経た今でも、「小川さんの○○がわがやにあって、いまでも大事に使っていますョ」という声もあがる。
有難いなぁと思いつつ、忙しさにかまけて小川さんをはじめあちらこちらの窯訪問の数がすくなくなっている。ちょっと反省。
さて、今回は、三島、粉引、白釉、萩風、刷毛目、朝鮮唐津など、小川さんの近作を持ち帰りました。順次、ご紹介してまいりますので、皆様おたのしみに。
小川さんの作品に接するのは、初めてと仰る方に。
まず何からでも結構です。お好きなものからご利用ください。シンプル、丁寧、繊細な感性が光ります。使いやすく、空きの来ないつわです。
ネットショップ又は代々木上原店店頭にてご紹介中です。
四代山田常山さんの常滑焼締め陶板皿が、ようよう窯出しとなり秋の良き日に届きました。
明けて嬉しや、いずれの陶板も牡丹の窯変を持ち、それぞれがそれぞれに味わい深い表情をもっています。
その表情は、全体的におおらかな静の力をたたえ、何をも受け止めてくれる包容力を併せ持った表情なのだ。
うつわはそこにあるのに存在そのものを語るでもなく、うつわに供されたものを語るようなたたずまいをみせている。
いいなぁ~~!自然発生的に声がこぼれた。めったにないことですが、そこに居合わせたものから同時に同じ言葉が漏れました。
いつものお造り、お肉やお魚、野菜の焼きもの、煮物、蒸し物、和え物。お寿司、チーズやハムのオードブル、果物、和・洋のお菓子、なんでも上首尾に受け止めてくれることと思います。
土は常滑の土。
焼き締め用の窯を用いて焼き上げてあります。
造作はたいそう丁寧で、跡目をたくさん用いて平衡を保つ陶板に仕上がっています。
チョット異なる用い方としては、テーブルや壁を彩る陶板としてご利用いただいても。
お楽しみください。
この他、四代山田常山さんのうつわは、こちらから。
あの夏の暑さを思い返すと、昨日今日の凌ぎやすい陽気はありがたいやら、うれしいやら。
みなさま、お元気にこの秋をお迎えでしょうか。
さて、秋といえばうつわ日和の日々、作家さん方の窯出しがつづきます。
この秋の一番星は、唐津の藤ノ木土平さんのうつわたちです。
力強い朝鮮唐津の大鉢、ざっくりとしていて洒落っ気のある朝鮮唐津の丸かったり、四角張っていたり、横長だったりするうつわたち。
土平さんのからだや腕、指の動きまで想像できそうな、手び練りの作品の数々。
唐津の風土と、土と、光と、窯と、土平さんとが互いに和みあったり格闘しあったりした結果の作品が多数届いております。
お近くにお出かけの折り、ぜひ、お立ち寄りくださり、ご高覧いただければと思います。
良品、佳品、力作が多々ございます。
この他にもたくさんございます。
藤ノ木土平さんのうつわは、こちらから。
秋の良い日に、お出かけくださいませ。
♡臨時休業のお知らせ
9月15日(金)から10月5日(木)まで、入院治療のためお休みをさせていただきます。お客様にはたいそうご迷惑をおかけいたしますが、10月6日からは、通常どうりの営業となります。
9/13までのお買い物の発送は、9/14に。休業期間中のお買い物の発送は、10/7とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
今年の梅雨は来週には明けるかもしれません、とお天気キャスターの方がいう。
「えっ、短いんじゃない!?」例年にない珍しい予報ですけど、梅雨が明けると、気温は一気に上昇気流。
灼熱の夏へとひた走ります。
夏支度、お済みでしょうか。
今年のガラスは、谷道和博さんのガラスのうつわに加え、漆のぬりもの静寛(守田漆器)さんから、ガラスに漆絵のグラスやステンレスに漆塗のロックグラスが入荷いたしました。
うす張りガラスに、漆に漆の顔料を混ぜ合わせて作る色漆の絵付けを施した涼やかな冷酒器の登場です。
化学染料の色味と異なり、自然の鉱物から作り出される顔料からなる漆絵は、どこかしら透明感を持つ上質な味わいです。
波と桜。一つは殿方に、一つはご婦人にいかがでしょう。
新潟県燕市のステンレス研磨技術と石川県加賀市の山中塗りのコラボによる漆塗りステンレス二重構造オールドカップも同時に届きました。
こちらは、店頭のみのご紹介となりますが、お問い合わせは、いつでもメールにて受け付けております。お気軽にご用命くださいませ。
二重構造に研磨されたステンレスの器体に、黒と赤の本漆の塗りを施したオールドカップです。
二重構造に仕上がっていますので、冷たいものも熱いものもオーケーです。
氷を入れても結露は出来にくく、冷たいものを長い間冷たく、温かいものを長い間温かくお楽しみいただけます。
夢のようなカップかと思います。
ほんとうにオールシーズン、どんな飲み物もお楽しみいただけそうです。
ちょっとしたプレゼントやお使い物にもいいかもしれません。
お待たせいたしました。
根本幸一さんのうつわ、お鉢類、お皿類、カップ、サラダボールなどいろいろ入荷いたしました。
一昨年にご紹介してからこれまで、あちらこちらからお問い合わせをいただき、嬉しい悲鳴を上げておりました。
ここ数か月間、お店までお出かけいただきましても在庫はなくなにもご紹介出来ず、申し訳ない思いを重ねておりました。
根本幸一さんご自身も、お休み返上でご作陶くださったお蔭の入荷でございます。どうぞお許しいただいて、出来立てのうつわをお楽しみくださいませ。
さて、根本幸一さんの作品につきましては、何回かブログでご紹介いたしました。下地に結晶釉を用い、上掛けに二通りの釉を掛け、それぞれに異なる釉調を導き出すところに、根本さんならではの真骨頂があります。
この技法は、天目茶碗の摩訶不思議さから導き出されたものですが、根本さんファンの方々には、すっかりおなじみのアナウンスになっているやもしれません。
カタチはシンプルでスタイリッシュ。固定した使い方ではなく、マルチプルにご利用頂けるカタチとなっています。
これまでの青白釉のほか、今回は、青黒釉も加わっております。
表情は、シルバーブラックに近いのですが、光りの当たり具合い、水分の含み具合いによって、その奥に青みを感じ取ることが出来ます。
青白釉のもの、青黒釉のもの、いずれも様々なお料理を盛り込んでいただいても、大丈夫な懐の深さです。
サイズもいろいろ揃いました。
どうぞ、あなただけの、オンリーワンの釉調のうつわをおたのしみくださいませ。
みなさま、その後、お元気でいらっしゃいますでしょうか。
久しぶりのブログ更新は、土鍋作家・稲葉直人さんのデザイン・ワーク、釉薬づかいのおはなし。
稲葉直人さんの土鍋に出会って、かれこれ10年を超えますが、初めに目に飛び込んできたのは、鉄釉と松灰釉をひしゃく掛けしたもの、わら灰釉の下地に紅彩を一筆書きしたもの、その斬新なデザイン・ワークにありました。
それまで土鍋といいますと、鉄釉、飴釉、灰釉、赤絵、染付、織部、三島、伊羅保などでつくられたものが王道でした。
長い間、こうした土鍋が作られ続けてきたことにはしっかりとした理由があり、その理由は、土鍋の堅牢性を高めるため、高い焼成温度で焼成しやすいものということが大きなポイントとなっていました。
焼成融点のことなる釉薬を多用することは、一種のタブーだったといってもいいのかもしれません。
そこに気魂のこもった釉薬を多用した柄杓がけと一筆書きでしたから、しばし、目を奪われ、ああ、ぎりぎりのところで勝負してらっしゃる作家さんなんだなと、深く心に留めいつかはこの作家さんのもとへと感じ入ったことでした。
そして二年後だったかと思います。伊賀の地に稲葉直人さんを訪ね、それからのお付き合いになるのですが、その後も毎年、何かしらの新作を私たちのもとへ届けてくださっています。
青白釉と紅彩の土鍋、藁灰釉と黒釉の掛け分けによる日月文様の土鍋、わら灰釉、紅彩、青呉須が織りなす花文様の土鍋、黒釉をベースにした色釉のコラージュを思わせる土鍋、鼠志野釉を用いたろうけつ染めを思わせる土鍋、現代的にアレンジを加えた黒織部の土鍋、複数の釉薬による流水紋、線紋、唐草紋などの描かれた土鍋、柄杓がけの土鍋、一筆書きの土鍋、思い返してみると、なんと変化にとんだ表情の土鍋をつくられていることでしょう。
今年の展覧では、形にも新しい試みがあり、八角土鍋を考案していらっしゃいました。
楽しいことは、力を生みます。
楽しいデザイン・ワークと釉薬づかいにとんだ稲葉直人さんの土鍋を、今年もどうぞお楽しみください。
生地に昔ながらの木節粘土(耐火度の強い粘土)を今もって使い続けていらっしゃるところに、一種の気骨さえ感じます。というのは、このごろではほとんどの作家さんが化学的に作られた耐火度の強い粘土をもちいていらっしゃるという背景があります。
稲葉さんが木節粘土にこだわっていらっしゃるのは、食いしん坊さんにとっては朗報のお鍋料理そのものの味わいをまるく美味しいものにするから。
今年のお鍋を写真でちょっとご紹介しておきますね。
よろしかったらネット上か代々木上原店にてご高覧くださいませ。
まだまだ残暑厳しい日が続いておりますが、皆様、お元気でお過ごしでしょうか。
夏の休暇を利用して、今回は会津・慶山焼の窯元を訪ねてまいりました。
会津には本郷焼や慶山焼などの焼き物のほか、造り酒屋さんが古くから盛んで、このほか味噌づくり、醤油づくり、蕎麦づくり、アケビやヒロロを用いた三島町の手工芸、蒔絵の美しい会津塗、昭和村のからむし織りなど、何もかもが自然からの恵みを生かした美しい産物のあるところでした。
今回は、ふだんの暮らしにスグにも使える用と美を兼ね備えたうつわ探しが主眼でしたので、足は、おのづと慶山焼の窯元に。
こちらの窯は、安土桃山時代後期の大名・蒲生氏郷のお庭焼きに始まる窯ですが、大きく二度ほど途絶え、時代の流れに沿って、その都度、時代が要請する焼き物を作り出してきた由緒ある窯です。
現在の慶山焼は現在の二代陶主、曲山輝一さんのお父様によって、昭和49年に開窯されています。初期の慶山焼は、屋根瓦づくりを得意とし、中期の慶山焼は、茶器づくりを得意としていますが、現在の慶山焼は、日常の暮らしに寄り添ううつわづくりに重きを置いていらっしゃいます。
私どもが訪ねた折り、窯には、初代陶主、職人さん方もいらっしゃり、陶芸教室も開いていらっしゃいますから、とても賑やか。
その中にあって、寡黙にろくろを引いていらっしゃる曲山輝一さん。僕はまだ独身で~とはにかまれます。二代陶主を昨年引き継がれたばかりだそうで、窯は丁度過渡期にあるといっていいのかもしれませんが、ギャラリーに並ぶ作品群は、どれも使い勝手が良く、細かいところまで気持ちの行き届いた作風のようにお見受けいたしました。
今回は、皆様が良く探しにいらっしゃるごはん茶碗、お湯呑み、カップ類、お鉢やお皿類を頂戴してまいりました。
曲山輝一さんのうつわは、端正で気取りがなく、とても使いやすいうつわ。
「最終的に盛り込まれる料理を引き立てるうつわ、活けられる花が引き立つような花生けをつくりたい」とおっしゃっていらしたのが印象的でした。
頂いてきた作品の数々は、順を追って商品アップしてまいります。
おたのしみに。
今年から初お目見えの柳川謙治さんのうつわは、ひとことで申しますとどこか懐かしいカタチなのですが、しゃれっ気が有り、使い勝手に富んだうつわとなっています。
古典に学んで、現代の感覚が吹き込まれたうつわとでも言ったらよいのでしょうか。
一つの作品で多様に使える嬉しい設計となっています。
白磁、青磁、青白磁、染付が中心となっていますが、この頃では、足利の土を用いた陶器のうつわづくりも始まっています。
柳川謙治さんは、足利の「人形のやながわ」の家に生まれ、手仕事が好きなことから、最初は家具関連の仕事についていらっしゃいましたが、あることがきっかけで一念発起、陶芸家への道を選択。京都で学び、修行。故郷に戻って開窯といった経歴をお持ちです。
独立して三年ちょっとというキャリアにもかかわらず、使い勝手のいいうつわを作られます。これは、職人の家に生まれたという役得がなせる技でしょうか。
それとも「人形のやながわ」を訪れる多くの女性陣の一言一句が柳川さんの背を押しているのでしょうか。
「これから、どんな器を作って行かれたいですか」という質問に、
「僕は、できるだけ長く愉しんで使っていただけるうつわを作ってゆきたいんです」
「もしもキズが行ったり、割れてしまっても、繕ってでも長く手元に置いておきたいと、お客様に言っていただけるようなうつわを作ってゆきたいんです」
と仰います。
こちらの心にズンと届く言葉でした。これまで聞いたことのないモノづくりの現場の方の声でした。
柳川謙治さんのうつわの中から、少しだけ写真でご紹介しておきます。
この他、お鉢やお皿もいろいろご紹介中です。
こちらから、どうぞ。
足利の土を用いた陶器は、追々ご紹介してゆく予定です。お楽しみに、どうぞ。
あったか~い鍋を囲むと、不思議なことに、誰もが幸せ気分になれそうで
誰もが満足、満足といったことになってくるのは、なぜでしょう。
今宵、お鍋を囲んで和もうよ、とか、親睦しようとか、仲直りしようとか、お鍋は、いろんな日頃の草草を楽しいものにかえてくれそうです。
今年も、稲葉直人さんのお鍋がたくさん届きました。
これまでにない青白釉に青呉須を用いた花の鍋など、力作揃いとなっています。
ネットショップでも代々木上原店の店頭でもご紹介しています。
どちらでもお好みの方法でチェックしてみてくださいませ。
楽しかったり、スタイリッシュだったり、サイズもいろいろにお楽しみいただけます。
お鍋の取り扱いなどについては、別記事でご紹介しています。
使い初めに注意していただきたいことがございます。
ぜひ、ごらんになってくださいね。
日一日と深まりゆく秋となりました。
先日の連休を利用して、伊豆の小川勝弘さんの窯を訪ね、久しぶりの新作を頂戴してまいりました。
小川勝弘さんのうつわは、いいですね。
てらいのないやさしさで、かつ使いやすく飽きの来ない仕上がりです。
小川勝弘さんの作られるうつわには、朝鮮唐津、三島、刷毛目、粉引、黄瀬戸、藁灰釉などが多く、作陶は、通底して、お茶道具やお懐石道具にかなうものという観点からなされます。
今回は、そうした小川勝弘さんが作られるうつわの魅力に迫ってみたいと思います。
お茶の精神にかなったカタチ、作り方に倣っていらっしゃる小川勝弘さんの作品群。なにもお茶の心得がないからと言ってしり込みをする必要はないのです。
ここ数年の小川勝弘さんのうつわには、どこかしら「詫びた」印象が付いて回りましたので、そのことをお伺いいたしますと~~
「古きに倣って、仕上げの最後に、細かい貫入が入る作り方をしているんです。昔の唐津や志野には、細かい貫入の入ったものが見受けられますョ」とおっしゃいます。
この表現は、酸化も還元も部分的に出てくる中性窯で焚くことによって可能となり、釉と土の収縮の差を大きくしてもたらされるのだとか。
う~ん、一種のひずみのようなものでしょうか!!!
奥が深いんです。尋ねれば尋ねるほど、小川さんのご苦心の様子をうかがい知るようで、一朝一夕にはなせない技のおはなし。
よくあるのぺっとした肌のうつわとは明らかに違う滋味のようなものがあります。
魅力その➊苦心の跡を、微塵も見せない清々しさといったところでしょうか。
こちらは、お茶事のお菓子鉢や預け鉢としてご利用いただいても良いお鉢ですが~~
日常使いでは、スープ皿にも、お惣菜を盛り込むお鉢にも、パスタやチャーハンをいただくうつわとしても使えます。
魅力その➋茶心によって作られるうつわは、日々の暮らしのうつわとしても大いに活用できる。
そして、こちらの片口。湯冷ましとして作られていますが、徳利替わりの酒器としても、ドレッシングやソースなどをサーブする器としてもご利用いただけます。
魅力その❸シンプルで飽きの来ない設計のうつわには、多用に使える包容力がある。
まだまだ魅力は尽きないと思いますが、今回は、この三点に絞っておくことといたします。
嬉しいうつわ遣いの数々。
一器多用の小川勝弘さんの器をぜひ一度お楽しみください。
かれこれお付き合いいただいて、三十数年になりますが、いつまでも色あせないうつわ群かと思います。小川さんのうつわをご愛用くださる古くからのお客様の中には、今もって小川さんの窯出しを楽しみにしてくださる方々がいらっしゃいます。
久しぶりに、窯を訪ねてまいりました。
みなさまどうぞ、お出かけくださいませ。
うつわの詳細は、こちらからどうぞ。
根本幸一さんの創り出すうつわには、一つとして同じものがない。
用いる釉は同じでも、微妙に一つ一つの窯変が異なり、おもしろい表情の釉調をかなでている。
その違うさまを愉しみたいうつわだ。
成形は、すべて手ろくろで行われ、釉は異なる三種の釉を用いて作陶される。
目指すところは、禾目天目のような釉調にあるそうで、いちばん最初に結晶釉、次いで二番目に基本となる釉、三番目の釉は、描いたイメージにより霧吹きで噴霧するか、筆を用いて最後の一色を投じるといった塩梅だ。
三種類の釉を駆使するだけに、一色掛けのものより手掛けの按配で、窯変はそれぞれに異なってくる。
それぞれの釉が窯の中で溶けあい、混ざり合い一つ一つ、異なる小宇宙をつくりだす。
時には、浅葱色に輝く湖水のようであったり
暮れなずむ夕景であったり
北欧の国に迷い込んだかのようなオーロラの景であったり
雪解けの頃の湖水だったり~~
そのうち、空を染めるうつくしい夕景にも出会えるのかもしれません。
たのしいですね。
つい数年前までは映像作家をこころざしていらっしゃったというキャリアの持ち主。
なるほど、釉薬とフォルムにこだわり、独自の用の美を創り出したいとおっしゃるのも、うなづけます。
陶芸家としてのキャリアは浅いとはいえ、二年連続で日本クラフト展に入選されるなど、これからが楽しみな作家さんです。
ただ今、代々木上原店でもネットショップでも、ご紹介中です。
どのうつわも、あれこれ使い廻しの利く器に仕上がっていると思います。
よろしかったら、お試しくださいませ。
平松祐子さんは、白磁の器をこよなくいとおしむように作陶される作家さんだ。
仕上がったフォルムはやわらかく、美しく、凛として整っている。
その秘訣をよくよく尋ねてみると、成形は総てろくろ成形で、肌にべたつきがなくなった段階で削りを入れ、素焼きに入るのだとか。素焼きの後、滑らかな仕上がりを図って、ひとつひとつ耐水ペーパーでヤスリをかけてから釉薬をかけ、本焼きにはいるのだとか。
釉薬は一種でも、一つの器に手の仕事が加わる時間が長い。
摩るように、撫でるように~~器が作られてゆくといったイメージだろうか。
キャリアは異色で、東邦大学薬学部薬学科を卒業の後、病院に勤務。薬剤師として勤務していらしたが、陶芸に触れる機会があり、何から何まで自らの手仕事で完成へと導く陶芸の魅力にはまりこんでしまう。
一念発起して、愛知県立瀬戸窯業高等学校陶芸専攻科の狭き門をくぐり、卒業して、現在の潮来市にて、作陶家としての道を歩み始める。
師はなく、独立独歩の道だ。
「大変でしたでしょう~?」
「いえいえ、集中し出したら面白くて、手探りの中に愉しみありで~。ようやく、自分の作りたいものが見え始めたところです」と、おっしゃる。
作っても作っても、つかいての手に渡ってゆくようで、お手持ちの作品は少なかったが、追々にご作陶いただくことを願って、おいとました。
数は少なめですが、ぜひ一度ご高覧くださいませ。
食卓に、女性らしい柔らかさがほしい時、平松祐子さんの器を一つ、置いてみてください。
食卓に、凛として、優しく、柔らかな空気感がもたらされるものと思われます。
久しぶりに益子の岡田崇人さんを訪ねた。
渋谷・東急での初個展時にお会いしたのが初めてですから、あれから十数年ぶり。
島岡達三(人間国宝)さんの門に入り、五年間修業の後、益子に窯を築き、銀座たくみで卒業展。
その翌年の初個展時だった。
確かな削りのラインにほれぼれとしたのを、ついこの間のことのように思い出します。
削った後の象嵌も、実に丁寧に仕上がっており、これはぜひ、マルコポーロのお客様にもご紹介させていただきたいと願い、それからのおつきあいになっている。
折から、益子は春の陶器市の真っ盛りで、作品を多くはいただいてこれませんでしたが
少しずつご紹介させていただこうとおもっています。
作家さん方が店を構え、自作を展示・販売するスタイルの陶器市は
作家さん方にとっては使い手の人々の生の声を聴くチャンスの場でもあり、売り手の代理をつかさどる試練の場ともいえそうです。
「面白いですか~~、作品は出ていますか~~」の問いに
「いやぁ~~」とはにかまれる。
おそらく、面白いも、愉快も、難渋もいろいろあるのでしょうとお見受けいたしました。
これまでの掻き落としや象嵌ものに加え
シャープな削りに地釉を掛けた作品、新しいカタチの作品が目に留まります。中でも一合ほどの晩酌に良さそうな徳利とぐい呑みに新境地を見たような印象を覚えました。
削りの凸乙と、そこにかかった地釉の窯変がいいあんばいに響きあっているのです。
お店にもいただいて持ち帰りましたので、お愉しみにおでかけください。
一昔前と違って、岡田さんファンは全国各地に広がっているとか。
これからの作陶に、ますます期待を寄せたくなってまいりますね。
愉しみは、これからも。
とうとう雨になりました。
こんな雨の日や、湿気が多くてジメジメする日、冷・暖房で外気と内気が著しく異なる季節、猛暑や強風が続いてカラッカラになる時期に、キッチン周辺で気になるのは、食べ物や調味料の傷み具合いです。
大事な秘伝のたれとか、自家製の塩麹、常備菜、佃煮、調味料、ソース類、スパイス、ジャムなど・・・せっかくのものを台無しにしてしまった経験をおもちではないでしょうか~~
手っ取り早い保存方法には、タッパーなどに入れ、冷蔵保存とか
使い切る分量に小分けして冷凍保存とかがありますが
味に敏感な方の中に、「心持ち味が落ちるようなので、何かいい方法はないかしら~~」と仰る方があります。
そうした方におすすめしているのが、今回ご紹介する松本頼明さんの備前保存のうつわです。
例えば、この砂糖菓子。
湿気が多い日には、表面が汗をかいたようになってきますが、保存の器に収納しておきますと、汗をかくことなく、美味しさを維持しながら保存することができます。
逆に乾燥が続いた日には、お菓子そのものの水分が奪われ、表面が堅く、しろくなってきてしまいますが、これも、保存の器に入れることによって避けられます。
では、なぜ、この備前の保存のうつわがよいのでしょう~~!?
大きく三つの利点があります。
一つは、備前焼は、山から田に流れ込んで、長い年月をかけて堆積した備前の田土がもちいられることにあります。この土のキメが細かいこと。また、備前の器はかなりな高温度で焼成されます。焼しめるほどに機密性はまし、それなのに呼吸する肌となります。
次に、備前の器は、熱しにくく、冷めにくいという性質をもっています。
三つ目は、松本頼明さんが以前、ホンダの設計技師さんだったという経歴が幸いしているということでしょうか。気密性に富んだ設計の保存の器となっています。
キーワードは、気密性に富んだ器、呼吸する器、環境温度に左右されない器というところでしょうか。こちらも使ってみて、その良さをひしひしと味わっているうちの一人です。
いい塩梅に保存しておきたいものがあるとおっしゃる方、ぜひ、お試しくださいませ。
サイズは、三とうりございます。
落し蓋方式の設計で、密閉性が増し、中のものを美味しく保存してくれることでしょう。
小さいサイズのものでも、結構の分量を保存することができます。
自家製のお味噌などの保存にもいいですね。
飴玉やお菓子入れにも。お好みで。
「今日はなんて気持ちのいい日なんでしょう~~」
「素敵な花を手折って、私に清々しい花を生けて下さらないかしら~~どなたか、お願い~~」
「ほんとに気持ちのいい日だね、僕は、美味しいお酒でボクを満たしてほしいくらいだ」
なんて会話が、ここに並ぶ花器や徳利の間で交わされているような、そんな錯覚を覚えるほど、藤ノ木土平さんの朝鮮唐津の器には、何とも言えない生き物感というのか、人間臭さがあるように思う。
それだからか、そうではないのか、どうにもわからないのだが、ここのところ海外から当店に訪れる日本の焼き物ファンの間で、藤ノ木土平さんの朝鮮唐津の器は、人気が高い。
黒飴釉と自然藁灰釉を掛け分けて生じる釉調のおもしろさからでしょうか~~
抽象画を想わせる焼成後の窯変がおもしろいのでしょうか~~
ブラック&ホワイトの簡潔さがよいのでしょうか~~
皆さん一様に、「素晴らしい」「美しい」「ゴージャス」と、おっしゃる。朝鮮唐津そのものの魅力を具体的な言葉で伺ったことはないのだが、嬉々として器をお選びになる姿には、国内の焼き物ファンと同じ姿が、かさなる。
器やとしては、日本に限らず海外の人々に、日本の器が高い評価を得て、海外での暮らしの一端に用いられることは、嬉しい。
それがこちらが記憶しているなかではニューヨークをはじめ、デトロイト、トロント、ベルリン、ロンドン、パリ、ボンベイなど、世界的規模で歓迎されているのだ。
中には、「茶道や華道をならっています」という方もある。
有難くてしようがない。
ネットショップを始めた初期の目的に、代々木上原在住(代々木上原には以前から外国からの日本へやってきた方の住居が多い)の折り、当店によく通って下さった方々が、任務を終え母国に帰ってゆかれる折り、「引き続きマルコポーロの器を見たいから、ネットショップを立ち上げてください」という声があり、これにお応えしようという意図もあった。
それにしても・・・その方々ではない海外の方々の反応だ。
ネットを見て、当店を探し当て、日本にいらした折りお寄り下さるのだ。
随分前から日本食やラーメンブームが世界の主要な都市でおき、これが影響しているのかもしれない。
いずれにしろ日本の文化が海外の方々に歓迎されるということは、非常にうれしいことです。
これを機に、いっそう気を張って、作品の買い付けに励まなくてはとも思います。
今回は、藤ノ木土平さんの朝鮮唐津を扱いましたが、このほか、織部、黒釉、楽などにも人気はあつまっています。折りを見て、こちらの方もご紹介してまいりたいと思います。
海外からお出かけ下さったみなさま、その節は、ありがとうございました。
日本にお出かけの折り、又お寄り下さいませ。
初めての方も、お待ちしております。
夏の暑い日でした。
常滑の小高い丘にある常山窯を訪ねました。
折よく、四代山田常山さん、長男の山田想さんもいらっしゃり、お話を伺いつつ近作をみせていただくことができました。
常山窯は、すでに御存知かと思いますが、国指定・重要無形文化財保持者(人間国宝)を輩出した、常滑の名門窯です。
棚には、歴代の作品があり、手に取って拝見いたしました。
いつかは伺いたいと考えつつ、なかなか果たせなかった三代常山さんの急須を手にしつつ、遠い昔のことを想い出していました。
考えてみると、この知多半島に初めて足を踏み入れたのは、まだ二十代の若い頃でした。
取材旅行で訪れ、いつの間にか居眠りしてしまい、はっと気が付いた終点は、目の前に海が広がるところ。
その時は、約束の時間に間に合うよう大急ぎのとんぼ返りでしたが、この半島に未練が残りました。そのうち、三代常山さんの急須を知ることとなり、いつかは、尋ねたいと思ううち人間国宝になられ、手の届きにくい急須となってしまったのです。
三代常山さんにお会いすることはかないませんでしたが、息子さんの四代山田常山さん、お孫さんの山田想さんの急須があります。
常山窯のDNAともいうのでしょうか、何か、脈々と波打ち受け継がれている技のようなものを感じるのです。
どこの窯でも感じることのない何か。これはいったいなんだろう~~!?
上二点の写真は、常山窯歴代の急須を写しています。
こちらは、納品を待つ山田想さんの急須です。
答えは、作業場を拝見させていただいて、なるほど、ここにという感を強くいたしました。
ろくろ台、急須を成形するうえで用いる小さな道具の数々が、三代山田常山さんの使われたもの、あるいは、それをそっくり再現させ作ったものだったのです。
これは、企業秘密といった範疇に入りますね。撮影も、NGでした。
四代山田常山さんも山田想さんも、三代に手ほどきを受け、三代の制作をそばで見ていらっしゃいますから、否応なく、土練、ろくろ扱い、成形、窯焚きなどの技術、道具使いなどは脈々と受け継がれているということになります。名門に生まれた役得というのでしょうか。
「名門に生まれて、その看板をうっとうしく思ったことはありませんか」
こうした質問に何度も出くわされたことでしょう~~。
その質問に答えて
山田想さんは、デビュー前はどう答えたら良いのか悩み、難しく思ったそうですが、デビューしてからは気が楽になり、自分なりの感性を作品に表現していけたらいいと、世良公則さんとの対談の中で語っていらっしゃいます。
おとうさまの四代山田常山さんも、若い頃のことを想えば、きっと共通したお気持ちをお持ちだったのでしょう~~終始やさしい眼差しで想さんを見守っていらっしゃいます。
どういったらよいのでしょう~~
常山窯には、親子の間に、いい意味での緊張と愛情からくるやさしい空気が流れていました。
常山窯の急須は、お茶を美味しく入れるために作られた急須と言われ、お茶人の間、お茶好きの間でたいそう評価の高いものです。
あいにくめざす急須は、すべて納品先が決まっているものばかり(人気があります~)
年内の窯出しで必ず皆様にお見せできますようお願いし、今回は、花入れとぐい呑みを頂戴してまいりました。
花入れもまた、急須と並んで使い勝手の良さ、面白み、侘びた風情をもったもので、人気のたかいものです。
四代山田常山作です。
山田想さん作です。
いずれも和花、洋花、どちらも活けやすい仕上がりとなっています。
急須こそ持ち帰れませんでしたが、とても素敵な花生けやぐい呑みに出会うことができました。
ぜひ、ご高覧くださいませ。そして、常山窯の作品をお試しくださいませ。
五月のある日、信楽作家市の会場で、ふと目に留まった青磁の器は、どこか14,5世紀の韓国青磁をおもわせるところがあるものの、確実にジャパンテイストが注入され、しっとりとした肌合いの美しい青磁だった。
足はその場で釘付けとなり、作者を追うと、まだ、27歳というはつらつとした女性。
お名前を、天野智恵美さんと仰る。
この折りの旅の目的に、新しい青磁の作家さんを探すことがあり、まさか、この地で青磁の器に出会うとは、思ってもいなかったことで、こちらとしては偶然とはいえ、その出会いに感謝した。
作家さん探しの森の中で、どこからかかぐわしい香りのする、深山蓮華に出会ったような嬉しさと言ったらよいのだろうか、姿、カタチも整い、青磁の発色も良く、貫入の入り具合も申し分のない作品だった。
しかもお若いのに、京都伝統工芸専門学校(現・京都伝統工芸大学校)を卒業し、一年間ほど波佐見の窯元で絵付け師として勤務した以外は、すべて独学なのだそうだ。
師弟関係もなく、一人独立独歩の道を歩いてきたという。
アルバイトをしながら生計を立て、朝早くからバイトに向かうまでの時間を制作の時間に当てる。
何を作れば、使って下さる方に喜ばれ、どんな技術で勝負すれば、世の中にみとめていただけるのか・・・あれこれまよいつつ制作し
グループ展、クラフトフェアなど、作品を見ていただける場があれば、積極的に参加する。
そして、昨年の信楽作家市から、バイトを辞め、作家一筋の生活に入られる。
工房は、シェア・アトリエだが、考え、作り、見ていただく生活は、たいへんですけど結構楽しい日々ですという。
そして、今年3月 益子で開催された「陶ISM2014コンペティション」にて一位。
4月には 京都・東山山麓の日吉で開催された「日吉開窯100周年記念コンペティション」にてグランプリを受賞という快挙がつづく。(彩黒色化粧にて)
今、天野智恵美さんは、新進作陶家として、ヒットを放ったという地点にいらっしゃる。
これからがまだまだ山あり谷ありだと思いますが、一つ一つ、楽しみながらがんばってゆきたいと仰います。
残念なことに、グランプリ受賞対象作となった彩黒色化粧の作品は少なく、今回ご紹介できませんが、秋風が吹くころには、何か、お見せできることとおもいます。
今回は、青磁作品の中から、日々の暮らしのなかで使いやすいものをご紹介いたします。
この他、カップやお皿なども追々ご紹介できると思います。
青磁の器は、夏の暑さ凌ぎに重宝致しますが、器の中でも格は高く、新年から一年を通して、いろいろなシーンでお使いいただけるうつわです。
ついこの間、東京へおいでた折りに、天野さんがお店に寄ってくださいました。
その時の天野智恵美さんです~~!
陶刻が愛らしいので、ご紹介しておきますね。
朝は小鳥のさえずりで目が覚めるんですョ、と仰るガラス作家・谷道和博さんの工房は、千葉県香取郡小見川町にあった。
辺りは静寂として、作品を創り出す地として、絶好の環境である。
シンプルかつ洗練されたフォルム、使いやすさに注目し、ぞっこんだった当方としては、ようやくの思いの訪問である。
伺いたくても、なかなかうかがえなくて~~ああ~~ようやくたどり着けました。
何とまぁ~会いたくともなかなか会えなかった恋人に会うようなこころもち。
その工房に並ぶように
谷道和博さんの作品を展示した展示棚がいくつも並ぶ
一つ一つ、見せていただくのだが、どれもこれもが洗練された温かな魅力を持って、こちらに微笑みかけてくる。
フォルムはとてもシンプルなのですが、光にかざしてみると細やかなところに、谷道さんのガラスに寄せる情熱と技術を感じ取ることができ
使ってみると、さりげなく使いやすいという作品群。
谷道さんは、都立工芸高校デザイン科を卒業ののち
各務クリスタル製作所に入社、吹きガラスをはじめていらっしゃいます。
31歳で横浜にガラス工房を築き、作家活動をスタート(これから38歳まで、各務クリスタルに勤めながらの作家活動となる)
35歳、赤坂「乾ギャラリー」にて初個展、のち個展、グループ展多数
38歳、各務クリスタルを退社、フリーランスにて作家活動に専念
41歳、現在地に工房、住居を移し、創作活動に専念、今年で25,年になるそうです。
「陶芸などに比べガラスはまだまだ生活の隅々にまで行き渡って使っていただくようには、なっていないのですね」
「僕の仕事は、少しでも多くのシーンでガラスの器を使っていただけるようにすること、生きがいと言ったらいいのかな」と、仰います。
なるほど、こちらも、しっかりお伝えしなくてはですね~~
さて、ガラス作品が出来上がるまで、どんなご苦心があるのかうかがいますと
「一つ一つ丁寧に、今もっている技術をむらなくゆきわたらせること」ということでした。
本当は、これが一番難しい~~!
素材は、よくあるソーダガラスですョ!炉に素材を投入し1400度まで上げ、ソーダガラスをむらなく溶解させ、吹きサオの先にガラスを巻き取って、吹きつつサオを回す遠心力で成形、台の上でカタチを整える(作品によって、吹く、台でカタチを整えるの作業が、何度も繰り返される)
器の底にもう一本のサオ(ポンテ)をつける(足、玉、台の成形)。水をつけ、サオを軽くたたくと吹きサオから器が離れる。ポンテサオに付いた部分は、バーナーで焼きつつ、カタチを整える。除冷室に器を移し、常温まで徐々に冷ます。最後に、検品をして、ガラスの器の完成となる。
調合、溶解、成形、徐冷、検品といったプロセス~
この日は、これから火を入れるところという日でしたので、実際に宙吹きをなさっているシーンは、おさえられませんでした。
谷道さんの作業環境、道具などを写真でご紹介しておくことにいたしますね。
お店に戻り、ディスプレイを終え、ほっとしていましたら~~
ディスプレイを終えたその日から、一つ、二つ、三つと、お客様のもとへお嫁入り。
谷道さんが仰っていたガラスの器を使っていただけるシーンが
少しずつ、広がってゆきそうです。
土屋由起子さんの唐津に出会って、かれこれ七、八年がたつだろうか。
最初に窯を訪ねた頃、お子さんのまり子ちゃんはお母さんのそばからついて離れないほどの幼さだったが、すでに学校に上がられ、近頃では電話口にその声を聴くこともなくなった。
当時は、東京のご自宅と窯のある唐津を行ったり来たりの作陶生活をなさっていらしたが、今では、ほとんど唐津にいらして作陶に専念していらっしゃいます。
土屋さんは、唐津の名門・中里隆さんに師事し、2000年に、唐津・一番館にて初個展
2002年に、現在地に築窯、独立して、作家活動に入られています。
全国各地にて個展、グループ展は多数、今日に至っていらっしゃいます。
お店にいらっしゃるお客様の中には、展示会場で、土屋さんにお会いしましたョ~~と仰る方も。
お付き合い当初は、黒唐津、白唐津の作が主でしたが、その後、茜唐津、白磁、長石釉と技術の幅を広げられ、最近では、絵唐津も作られるようになっています。
さて、今回は、大小さまざまな輪花鉢。
技法は、黒唐津、長石釉、白磁。
とても、使いやすそうです。
サイズの大小、深さのあるなしがあり、多少お値段も違ってきます。
肌合いは、あくまでも柔らかく、なんでも受け止めてくれそうな優しさです。
お好みの輪花鉢、見つかりましたでしょうか。
店頭でも、ネットショップでも、ご紹介いたしております。
お出かけくださいませ。
石川県能美市に山近てるみさんの工房を訪ねたのは、暑い盛りの八月でした。
工房周辺の田んぼには、出穂した稲がこうべを垂れはじめていたでしょうか。
「暑いですね~、汗がポタリなんてことはないのでしょうか!?」と、言葉がついて出そうでしたが、申しあげなくて良かった!!
撮影し、取材を重ねている間、こちらが汗をかくのに反して、山近さんは一つも汗をかかれない。おまけに、筆を持つ手も休むことがない。
素晴らしい集中力をお持ちだと感服しつつ、その秘訣をお訊ねすると、「描くということはイコール仕事ですから、どうしても責任が生じてきます。独立してから、仕事を出してくださる方や周りの方々にもまれ、鍛えられ、いつのまにか、ここだけは譲れないぞということで、スッと仕事に入れるようになりました。入ったら、楽しいものですから、ちょっとやそっとのことで気持ちは揺れないんです」と、仰る。
山近さんは、18歳で新田邦彦氏に師事
その後、妙泉陶房の山本長左氏に師事4年後に「華泉」を拝号
その後、福島武山氏に師事の後、独立
がむしゃらの20代、自分探しの30代、40代の今日、ようやく心に落ち着きができ、独立の頃に抱いた、九谷に行けば、華泉という染付の絵付師がいると思っていただけるようになりたいと仰る。
もちろんですョ。それで、こちらも訪ねて参りました。(笑)国内と言わず海外もめざしてほしいほどです。
山近てるみさんは、小学4年男児のお母さんでもあります。
「不思議なことに、子供が生まれてから肩の力が抜け、堅さもとれ、迷いがなくなりました」「子供は、これ以上のものはない代替のきかない作品ですから」「今は、仕事が楽しくてなりません」とも。
その子供さん、お母さんが大好きで、お母さんの仕事も理解して、「学校の友達にわたしの仕事のことをはなしているらしいんです」と、山近さん。唯一、破願のとき。
さて、丁寧な仕事で定評のある山近さんのデスク廻りをご紹介しましょう。
絵付けに用いる青呉須の硯
だみ筆は、思いのほか太い。
この太い筆で、微細なスペースにもだみを置いて行かれるという。
絵付けの出番を待つ、成形された生地。
追加注文を受けた、作品の数々。
作品を拡大してみると、山近さんその人の仕事の確かさに出会えます。
みる日によって表情が違って見える獅子の絵付けの酒杯など。
盆栽用の植木鉢は、盆栽ファンの方々に、人気のひとしな。
最後に、どんな時間がおすきですか!?と伺ってみました。
「仕事以外ですか?子どもといる時、お酒をいただくときかな」「どんな肴でも身近にあるもので充分。ご飯をいただいてから、ゆるゆるいただくのが好きですね」と仰います。
今夜も、仕事を終えた後、一杯のお酒をたのしんでいらっしゃるでしょうか。
愉しみつつ、普段から山近さんお好みの日本画や着物、書画骨董の中にみられる
古典柄の世界にこころをあそばせていらっしゃるでしょうか。
仕事を離れる時は、メガネはなし。
着物や祭り袢纏などもお似合いになりそうな粋でうつくしいひと。
一度手から離れた作品には、何の執着や未練もないのだそうです。
食卓でも、ご自分の作を使われることはないのだとか。
「もしも、使っていたら、食べ物より作品の方に眼がいって、食べ物そのものをあじわえなくなりますもん」
ここまで仕事とプライバシーを簡潔にくぎられているとは・・・
山近さんの描く一本の線が、生きて、小気味よい表情を持つ絵付けとなってゆくのもうなづけるところです。
山近てるみさんの作品は、ネットショップでご紹介中です。ごはん茶碗、湯呑、マグカップ、そば猪口、酒杯、お皿、お鉢など、どれをとっても、たいそう丁寧な仕事から生まれた作品かと思います。おたのしみください。
九谷の川合孝知さんの色絵絵付けは、ご本人が「楽しむ器を作りたい」と仰るだけに、とても眺めていて楽しいものに仕上がっています。
川合さんは、静岡県静岡市生まれ、日本大学生産工学部数理工学科を卒業されたのち
石川県立九谷焼技術研修所に進まれ、ここを卒業
上出長右衛門窯にて絵付けを修学
こののち、県立九谷焼技術者自立支援工房にて制作を開始、今日に至っていらっしゃいますが
この間、九谷焼伝統工芸士の認定をもうけていらっしゃいます。
九谷の確かな伝統技術をベースに、ご自分のあたらしい創造のせかいを一筆に託す絵付けの世界。
釉の使い方といい、絵付け文様の世界といい、独自の世界を表出なさっていらっしゃいます。
和と洋との要素が、器の器体の上で、陽気に、あるいはメランコリックに融合しているようです。
パラシュートを愉しむ人の絵付け
和洋の花々が生息するような絵付け
持ち手のところまで楽しみがプラスされた絵付け
どの器を手にしても、作家さんの愉しみぶりといいましょうか、たわいもなく、ふんだんに、遊び心たっぷりな様子がうかがい知れ、うれしくなってしまいます。
なんといったらいいのでしょう~~
毎日が、日曜日な気分にさせてくれそうな器なんです。
どうぞ、みなさも、お楽しみくださいませ。
川合孝知さんの器は、店頭でも、ネットショップでもご紹介させていただいています。
こちらから、どうぞ。
朝晩の冷え込みがきびしくなってまいりました。
今夜あたり、お鍋かなぁ・・・
鍋を囲んで、家族の顔、友の顔が揃い、さぁ、行きますかと鍋奉行さんがはりきり・・・
あるいは、一人、ゆっくり鍋をつつくというのも絵になります
ただ今マルコポーロには、鍋作家・稲葉直人さんの土鍋がいろいろ揃いました
稲葉さんのお鍋には様々な釉を駆使したデザインという華があります。
そして、
鍋づくりに用いる土が昔ながらの木節粘土(伊賀で作られるお鍋)ということから、仕上がりに軽さが約束されます。(ややヒビは入りやすくなりますが、これは使い方次第で、手を加えて堅牢化することができます)
使い手の方々が扱いやすい蓋のつまみ手、持ち運びが楽な鍋の持ち手など、随所に使いやすさが追求されています。
蓋を開けると~~~
お鍋料理の具材たちが際立ってきそうな、あたたかな刷毛目の入った地肌
さて、今日の具材は、なんでしょう・・・
こちらは、二種の一人用土鍋ですが
ちょっと温かなものをいただきたいというときには、二人用としても使えそうなサイズです。
良く旅館などで出てくる、しっかりお一人さん用ではないところが嬉しいですね。
稲葉さんの土鍋の魅力は、ほかにもまだまだあると思いますが、具体的なところでは、蓋のつまみ手のデザインが・・・
割高台の逆版です
指でつまみやすくなっています
こちらは、手のひらで包むようにつまむようになっています
又、鍋の持ち手のところは・・・
握りやすく
持ち運びやすく
掴みやすくなっています。
お鍋の取り扱いとお手入れ法に関しては、以前に記事にしたことがありますので、そちらを参照して頂けたら、嬉しく思います。↓
http://utuwa-nuno-marcopolo.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-5549.html
日に日に秋めいてまいりました
稲穂は黄金色に輝き、田んぼの土手っぷちには、彼岸花が陽ざしに明るい頃でしょうか!?
澤克典さんの弥七田織部向付をながめていますと・・・
鳥が飛ぶその軽妙な絵柄からか
やや赤みを帯びた土質からか
郊外の自然の情景を思い浮かべてしまいます
さて、当ネットショップで、こちらの向付をご紹介して(商品アップして)数日がすぎましたが、商品紹介のページで、言葉足らず、映像足らずの点がございましたので、ここに補足しておきたいと思います。
商品紹介コメントの末尾に
なお、模様は三通りの絵替わりとなっています。と、致しましたが、映像では、一点のみのご紹介にとどまっておりました。
申し訳ございませんでした。
お詫びして、ここに三種揃い踏みして、ご紹介させてくださいませ。
この向付をネットショップでご注文いただく折りは、絵柄A、絵柄B、絵柄Cとお問い合わせフォームから、追記してご注文いただければと存じます。
お手数をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
絵柄A
、
絵柄B
絵柄C
まだ油蝉がなく頃、信楽の鈴木茂至さんの窯をたずねました
あいにくご本人は海外へご旅行中で、同じく陶芸家の息子さんお二方にお相手頂き作品を見せていただくことに
写真の器はお父様の茂至さんの作で、窯からもちかえって朱塗りのお膳に乗せてみると、窯では思い及ばなかった雅びで柔らかな世界が表れ出てきました
優美な焼締め色絵碗・・・
手削りの目跡のあるお膳ではどうだろうか・・・
のせてみると・・・
今度は、剛の趣きを持つ焼締め色絵碗のように見えてくる
柔と剛と、双方を併せ持つ碗・・・
中に盛り込むものまで違えて空想するほどのおもしろさです・・・
もちろん他の器にも似たような印象をもつことがありますが、そうそうはないのです
白化粧掛けされ
色絵を施された
焼き締め色絵の技法
この技法が評価され、鈴木茂至さんは70歳を迎えられた折り、甲賀市指定無形文化財技術保持者と認定されています
焼き締めの四方盛り込み皿は、小気味よい、シャープな味わい
ショップの方には、鈴木茂至さんの近作が揃いました
お二人の息子さん方の作品もたくさん持ち帰りました
追々、ご紹介させていただきたく思っています
鈴木茂至さん、工友さん、正彦さんが作陶をなさる中郷窯前景
窯は作品により使い分けられるとか
次の窯出しが、待ちどうしいですね!!!